-
木組みの家
- 竣工年月
- 2015年6月
- 工法
- 木造軸組
- 所在地
- 三重県四日市
加藤建築の「木組みの家」を代表するお住まい。
家の中心に大黒柱を1本、周囲に通し柱を立て、原則金物に
頼らずに梁と接合する伝統的な構法で造り上げた。
LDKに入ってまず驚くのが、吹抜けまで大樹のようにそびえ
る大黒柱の存在感。「大黒柱は京都に出かけて、『杉の磨き丸
太』を選びました。
19mほどの杉から大黒柱を取り、その他の部分は造作に使っています」。美しい丸太の大黒柱に、6人家族の身長が記されているのが何ともほほえましい。
さらに吹抜けを見上げると重厚な梁が組まれ、迫力に圧倒される。
「子どもたちは吹抜けの下でボールを投げて遊んでいますよ」と笑う通り、このたくましい大空間なら元気に遊びたくなるのもうなずける。
内装材にも無垢材をふんだんに使い、わらと土を練り上げた本格的な土壁を採用して、伝統の構法を今に伝えているK邸。
一方、間取りは実に今ドキで、キッチンと洗面脱衣室の直結や、玄関の2way動線、床下収納付きの小上がりなど、子育てが楽しくなる工夫が随所にあふれている。
自然素材ならではの心地よい空気に包まれて、4人の子どもたちはすくすく成長中。「高温多湿な夏は爽やかに過ごせます。
冬は薪ストーブの温もりが家中に広がり、夜に洗濯物を干せば朝には乾いています」とKさん夫婦は住み心地を語ってくれた。ゲストもつい長居したくなるお住まいだ。
-
瓦屋根と、Kさんがこだわった天秤梁が伝統的な美しさを放つK邸。
メンテナンスを軽減できる黒のガルバリウム壁やインナーガレージ
を採用して、飽きの来ない和モダンな外観を叶えた。
玄関ポーチは、天然石と洗い出しの床で品格を高めている -
杉の磨き丸太の大黒柱が、K邸のシンボル。LDKの中心にどっしり
と立ち、構造を支えながら家族を見守っている。
家族の身長を記して背比べするのもお約束。「丸く収まるという意味
を込めて丸太にしました。大黒柱を取った後の杉材はキッチンや洋
室のカウンターに活用しています」 -
大黒柱と重厚な梁を組んだ吹抜けは、職人仕事を感じられてまさに
壮観。木組みと土壁が織りなす和の空間に、アイアンの手すりやシー
リングファン、スポットライトが意外なほどマッチする。「照明計画
がおしゃれとよく褒められます」 -
玄関ドアを開けると、風合いの増した杉の無垢床の廊下がすっと伸
び、中への期待感が高まる。「玄関には縁起や厄除けの意味をもつ
槐(えんじゅ)の床柱を加えました。自分が一番好きな木です」と
Kさん。正面のシューズクロークを通る2way動線で、大家族の出
入りがスムーズ -
繊細な格子が彩る小上がりの和室。床下に大型の引き出し収納があ
り、絵本やおもちゃ入れとして役立っている。「TVを見るときのベ
ンチにする予定でしたが、今はソファがあるので、いずれフラット
にリフォームしたいです」 -
壁は昔ながらの土壁にし、表面をヒノキチップを入れた塗り壁材で
仕上げた。吸湿性に優れていて、雨の日も爽やかに過ごせるとか。
3センチもの杉の厚板を張った床は、浮造りの凹凸が足に心地よい。
「9年目を迎えますが、特別なお手入れはしていません。暮らす中で
風合いが出てきました」 -
繊細な格子が彩る小上がりの和室。床下に大型の引き出し収納があ
り、絵本やおもちゃ入れとして役立っている。「TVを見るときのベ
ンチにする予定でしたが、今はソファがあるので、いずれフラット
にリフォームしたいです」 -
吹抜けを通して家族の気配が伝わるオープンな間取り。洋室のドア
から出られる窓辺の通路は、ランドリーロープを引き出せば物干し
場にもなるアイデアスペース。「子どもたちが成長したら、吹抜けや
バルコニーを部屋に改修する計画です」 -
キッチンと洗面脱衣室が直結し、回遊できるので家事がスムーズ。
吸湿性の高い杉板の壁にし、洗面カウンターはイチョウの一枚板で
造作した。床は竹材を使うなど、自然素材に包まれた水回りで気分
爽快。カウンター下収納やニッチも設けた -
家族の様子が見渡せる対面キッチン。横にオープンな大型パントリ
ーがあり、食品収納に困らなくてすむ。「背面に写真や調味料を置き
たくて、後から飾り棚を付けました」。ダイニングテーブル、カウ
ンター、天井も杉を使い、経年変化を楽しんでいる